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『blind love』 水銀燈とジュンは幼なじみにして恋人同士。 付き合い始めてずいぶんたった。 そんなある日のお話… 学校も終わり、二人仲良く帰宅途中。 今日はあいにく朝から雨だ。 「ねぇ~ジュン。私達、今日で付き合い始めて丸一年なのよぉ」 「え?そうだったのか?」 「うふふっ。やっぱりジュン忘れてたぁ」 「あ…いやぁ…すまん…」 「丁度一年前、この道を通った時にジュンは私に告白したのよぉ?」 「ああ。そうだな」 水銀燈は嬉しそうにステップを踏む。 「この一年、いろいろあったわねぇー…」 「今まで以上に水銀燈燈と仲良くなれて…俺は嬉しいよ」 「私もよぉ♪」 水銀燈とジュンはアパートの階段を登る。 彼らはどちらもアパートに一人暮らしだった。 「ジュン…。これからもよろしくねぇ」 「ああ。こっちこそ」 「うふふっ。ずっとジュンと一緒よぉ♪」 嬉しそうに階段を駆け上がる水銀燈。 その時もっと注意していれば…。 その日の階段は雨のせいで濡れて滑りやすくなっていた。 水たまりに足を滑らせ 水銀燈は、 階段から、 落ちた。 「水銀燈っ!」 とっさにジュンは傘を放り出し水銀燈を支えようと手を伸ばした。 しかし…間に合わなかった…。 水銀燈は側頭部から階段の踊り場に落ちていった…。 鈍い、音がした。 「水銀燈っ!水銀燈っ!おいっ!」 ジュンは水銀燈に駆け寄り彼女を抱き上げた。 水銀燈は、ぐったりとしていた。 「なぁ…おい…水銀燈…。目を開けてくれよ…。たのむから…」 ジュンがいくら呼びかけても水銀燈は目を開かない。 雨が、二人を濡らしていった…。 「…そうだ…救急車…。救急車だ!」 ジュンは急いで携帯を取り出し、119を押した。 10分程でやってきた救急車に水銀燈を乗せてもらい。自分も付き添いで乗り込んだ。 総合病院に搬送された水銀燈。 彼女は即、緊急救命室に運ばれジュンは廊下のベンチで待つことを余儀なくされた。 病院にやってきて約二時間後。 濡れた服が乾いてきた頃に、ようやく医師が救命室から出てきた。 「先生っ!水銀燈は…彼女はどうなんですかっ!」 「うむ…。とりあえず一命は取り留めた…が………」 「が………?」 なにやら嫌な予感がした。 「………」 「先生っ!はっきり言ってください!」 「彼女は…どうやら視力を失ったらしい…」 「は……………?」 「恐らく階段から落ちたときだろう…。骨折した眼の周囲の骨片で彼女の視神経が切断されてしまった…」 ジュンの頭の中は真っ白になった。 水銀燈が、失明? そんな……… 「そんなこと…………。…な…治るんですよね!?」 「…医師の私が言うのもおかしいが……奇跡でも起こらない限り…」 「そ…んな…」 ジュンはその場に力なくしゃがみ込んでしまった。 「…すまない。今の医学では…」 「水銀燈…」 俺が彼女を受け止めていたら…。あと少し…早く彼女を…。 「今、彼女は薬でねむらせてある。安静にしておかなくては…」 「はい…」 「また明日、来るといい…。彼女をささえてあげなさい」 「はい…。今日は…帰ります……」 そう言ってジュンは病院をあとにした。 家に帰り、自分の不甲斐なさを思い出して一人泣いた。 翌日、学校を自主休校したジュンは朝一番で病院に向かった。 受付で水銀燈の病室を聞いてそこに向かう。自然と早足になった。 病室の扉を、勢いよく開けた。 「水銀燈!」 ベッドにいた水銀燈の眼には包帯が巻かれていた。 それが、とても痛々しかった。 「ジュン…ジュンなの…?」 水銀燈は入り口に顔を向ける。 「ああ…。そうだ…」 「ジュン…………私ね、目が見えなくなっちゃったのぉ…」 水銀燈は、落ち着いた様子で話した。 「…」 「全部聞いたのよぉ」 「水銀燈…」 ジュンには、彼女にかけるべき言葉が見つからなかった。 「最初は驚いたわぁ。だって視界が真っ黒なんですものぉ」 「…」 「停電かと思ったわぁ。…でも、お医者様の話によれば視神経が傷つけられてしまって…」 「…」 俺は…なんと言って水銀燈を慰めればいい? どんな言葉をもってしても彼女を慰めることなんて出来ないだろう…。 沈黙が、部屋を支配した。 やがて水銀燈が口を開いた。 「ジュン……。私達、もう別れましょう?」 「なっ…!なにバカなこと言い出すんだ!」 「私、ジュンの足枷になりたくない…。負担になりたくないのよぉ…」 「水銀燈…。俺はお前の事を負担だなんて思わないぞ」 「…優しいねぇ、ジュン。でもその優しさが、時には残酷」 「…」 「こんなに側にいるのに…。手の温もりや…息遣いや…匂いを…感じられても…。私の瞳の中に貴方はうつらないのよぉ…。辛いのよぉ…」 「で…でも俺は…」 「やめて!…こんなもどかしい思いをするぐらいならもう…いっそのこと…」 「水銀燈っ!」 ジュンは水銀燈に駆け寄り、強く抱きしめた。 「やめ…てぇ…」 「俺はお前の事が好きなんだ。愛してるんだ。なのに…別れるなんて言わないでくれ…」 「ジュン…」 「絶対、お前の目に光を取り戻してみせる…。だから…」 「ジュン…ジュン…」 「水銀燈の為に…全てを失ってもいい…だから…」 「…………ほんとに、私の目を治せるのぉ?」 「絶対、なんとかしてみせる」 「いっぱい、いっぱい、迷惑かけちゃうかもしれないわよぉ?」 「ああ、かまわないさ。いっぱい迷惑かけてくれ」 「………なら…まってる………」 数日後、水銀燈は退院した。 もっとも、退院後は月に一度は病院に通わなくてはならなかったが。 実生活では、ジュンがいつも水銀燈に付き添って手助けしていた。 四六時中一緒に居るせいで周りから冷やかされることもあったが、ジュンは全く意に介さなかった。 ジュンは水銀燈の担当医の所に足繁く通い、水銀燈の瞳に再び光を取り戻す方法はないのかと嘆願し続けた。 そんなある日、医師から興味深い事を聞かされた。 「桜田君じつは今度日本に『眼科医の権威』と呼ばれている間黒男氏が帰国する。と言う話を聞いたんだ」 「先生…まさか…」 「ああ。こんど水銀燈さんのレントゲン写真とカルテを送って、オペの依頼をしようと思う」 「先生っ!ありがとう…ございます…!」 ジュンは、深々と頭を下げた。 その日、いつものように水銀燈の家に行き夕食の支度をするジュン。 「ジュン、今日はずっと黙ってるねぇ」 「…ああ…。そうかな…」 「何かあったのぉ?」 「うん…。じつは今日病院いってきたときに先生に言われたんだ…。『こんど帰国する天才眼科医の人にオペの依頼をする』って」 「えっ…」 「でも、こうも言われたんだ。『オペ依頼を受けてくれる確率、それが成功する確率は、宝くじに当たるのと同じくらいのものだ』ってな…」 「ジュン…。私は、ジュンがそうやって必死になってくれるのが、すごくうれしいよぉ?」 「水銀燈…」 水銀燈の美しい薄紅色の瞳に、ジュンのことはうつらない。 いつも、どこか遠くを見つめているようだった 「私は、ジュンの事を信じてまってるわぁ。いつまでも…」 「水銀燈…」 ジュンは、水銀燈に優しく口づけした。 「お前の瞳に光が戻ったら、一緒に公園の桜を見に行かないか?もうすぐ桜の季節だしさ」 「ジュン…。…ええ。必ず行きましょ。約束よぉ」 「ああ。約束。だ」 数日後、ジュンは医師からの電話で病院に向かった。 「先生…依頼はどうだったんですか…?」 「喜んでくれ。依頼を受けていただけるそうだ。…まぁ、詳しくはこの手紙を読んでくれ」 医師はそう言って一通の手紙を差し出した。 『ご依頼の件、確かに承知した。 非常に興味深いパターンであり、私としても全力でオペに臨みたいと思う。 あと、普段だったら一億は貰うオペだが、どんな結果になっても文句を言わないのであれば今回は一切の費用は必要ない。』 「先生…この『どんな結果になろうとも』って…?」 「うむ、なんでも水銀燈さんの症例はあまり前例がない上に成功例がないらしいんだ。しかし間先生は『手順を踏めば絶対に成功させられる』と意気込んでおられるそうだ」 「そうですか…」 「桜田君。今は、信じて祈ることしかできないよ」 「はい。ありがとうございます」 ジュンは一礼して病院をあとにした。 そして、帰宅したジュンは水銀燈にこのことを伝えた。 水銀燈はにっこりと笑い、 「ジュン。ありがと」 と本当に嬉しそうに言った。 「手術、成功するといいな」 「きっと…大丈夫よぉ…」 「治ったら…桜を見て…映画にも行って…一緒に買い物行って…。…たくさん楽しもうな」 「うん…。私、いっぱい甘えちゃうわよぉ?」 「ああ。是非ともそうしてくれ」 手術の前日、いつものようにジュンは水銀燈の家に来ている。 「……………ねぇ、ジュン」 おもむろに水銀燈は口を開いた。 「ん?どうした?」 ジュンはやさしく問いかけた 「私………今すごく不安なんだぁ………」 「水銀燈…」 何だかんだ言って、やはり水銀燈は怖いのだろう。 「ほんとは…すごく……不安で……怖くて……どうしようもないんだよぉ……」 水銀燈は心の内を吐露した。 ジュンは、そんな彼女を抱き締め、ささやいた 「大丈夫。きっと手術は成功するさ。絶対に、絶対に。だ」 「ジュン……でも私……」 「俺がついてるから、な?」 「………………ジュン、私に勇気を頂戴?」 「えっ…?」 「私を…抱いて?」 二人は今、水銀燈の自室にいた。 「水銀燈…。ほんとにいいのか?」 「うん…。お願い」 「そ…そうか…」 「…ねぇ、服、脱がせてほしいなぁ」 「あっ…ああ…」 ジュンは水銀燈の服を一枚一枚脱がしていった そして現れた美しい肢体。 雪のように真っ白な肌 美しさに、みとれた。 「ジュン…?どうしたの?………来て…?」 「ああ。まってろ」 ジュンは手早く裸になると、水銀燈の待つベッドに向かった。 … … … 二人の間には甘く、切ない時間が流れた ことはすべてすませた 今、水銀燈はジュンの腕の中で静かに寝息を立てている。 「水銀燈…。明日は、がんばれよな…!」 ジュンは静かに言った ――絶対、水銀燈は治る。 そう、彼は確信していた。 また、彼女の薄紅色の瞳で見つめて貰える。と… 遂に手術当日。 水銀燈はジュンに付き添われ病院にやってきた 手術室の前。二人は短い会話を交わした 「水銀燈…。俺はここで待ってるぞ…」 「ええ…。もうなにも迷わないし怖くないわぁ。ジュンの…お陰でね」 「ああ!」 そして、扉が閉じた。 廊下のベンチに腰をかけ、ジュンは目を閉じた 彼女なら、大丈夫だ。 絶対、また一緒に『見る』ことが出来る…。 俺たちは、乗り越えられる。 窓の外に目をやると、桜吹雪が舞っていた。 六時間ほど経った頃、手術室の扉が開いて、間医師達が出てきた。 「先生!水銀燈は?」 「桜田ジュン君だね。安心したまえ。手術は問題なくすんだ。まぁ結果は彼女が麻酔から覚めるのを待つしかないが」 「あ………ありがとうございますっ!」 「なに。礼には及ばんさ」 ジュンの目の前には、あのときと同じように目に包帯を巻いた水銀燈が横たわって眠っていた。 「先生、水銀燈の麻酔は…いつ頃切れるのでしょうか…」 「そろそろだろう。なに、手術は成功しているさ。安心しなさい」 「はい…」 そして、水銀燈の、麻酔が、切れた。 「いいかい?包帯をはずすよ?」 「はぁい…」 医師が包帯に手をかけた。 「水銀燈…」 ジュンは固唾を飲んで見守った。 はらり、はらり、はらり… 包帯がすべて外された 「さ、ゆっくり目を開けてごらん?」 「はい…」 水銀燈の瞳が少しずつ開かれてゆく。 「水銀燈…みえるのか?」 「あ…あ…。…見える…見える…」 「本当か!?本当にみえるのか!」 「ああ…ジュン…。会いたかった…会いたかったよぉ…」 水銀燈はジュンに抱きついてきた。 「はははっ!やったなぁ!良かったなぁ!」 ジュンも水銀燈を抱き締め、涙を流して喜んだ 「見える…見ることができる…。こうして触れ合える…」 水銀燈も、涙を流して喜んだ。 二人の幸せはまだ始まったばかり。 一緒に見て、触れて、感じることができる。 そう…彼女の瞳に光が戻ったのだ。 Fin この話良いね -- 名無しさん (2006-09-24 04 13 25) ブラックジャック? -- 名無しさん (2006-09-25 17 59 55) 間黒男=ブラックジャックの本名 -- 名無しさん (2006-09-28 10 15 15) う〜む…てっきり手術が失敗して死ぬのかと思ってた…まあ目の手術で死ぬ事は無いか(笑) -- ナンブ (2006-10-14 13 02 43) 水銀燈目が見えるようになってよかった~(- -;) -- 名無しさん (2006-10-22 21 27 57) 水銀燈だいすきです!!めっちゃ感動したvv -- ri~ko☆ (2006-11-06 12 39 09) ブラックジャックナイス? -- ヒーロー (2006-12-16 19 29 43) お金は要求しなかったが -- 名無しさん (2007-03-24 14 22 34) でも、『どんな結果になっても』ってのは、失敗するかも知れない。て事になるんじゃ? -- 名無しさん (2007-05-03 20 36 01) まぁ、結果オーライなんだからいいんじゃまいか?w -- 名無し (2007-05-03 21 12 47) なんか、言いはなしだねぇ 小説かけるんじゃない?? -- 名無しさん (2007-05-16 20 26 14) ぶらぼぉ〜(ΤоΤ) -- 流禍 (2007-06-23 16 12 57) 最高でしたジュンやるなー -- 藍染隊長 (2007-08-31 23 53 09) 正直に言います。 半泣きになりました ありがとうございました! 超感動しました! -- シン (2007-11-23 01 13 09) これはいいラブラブ銀様ですね -- 党員no39731 (2007-11-23 17 12 39) 泣けた〜ヤバいくらいに誰かティッシュくれ〜銀ね〜 -- 薔薇しぃ〜 (2008-11-25 23 26 31) 水銀燈よかったなってか何故ブラックジャック? -- 零 (2008-12-26 22 49 43) ボロ泣きした -- 名無しさん (2009-02-12 17 45 04) ラクッカー(食い物じゃない方)鳴らして祝福してぇ -- レイ (2009-05-04 00 06 51) 汝らは正しき選択をした -- ウィツァルネミティア (2009-07-06 19 14 30) 名前 コメント
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音羽の制服(おとわのせいふく) 音羽の制服 アイテムカード 使用代償:青青白 常時このキャラが攻撃しているバトル中、このバトルの攻撃属性と同じ属性の能力値に+300 誘発相手ターンのメインフェイズ開始時、このアイテムを破棄する。破棄した場合、このキャラにHP+200する。 「やっぱり変でしょうか? サイズはだいたいあってるみたいなんですけど」 Version/カード番号 Ver.18.0/1586 レアリティ R コメント コメントの入力。必須ではない。
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「真紅もロック聞くのねぇ…知らなかったわぁ」 「それはこっちのセリフなのだわ」 再会して最初に交わした会話がこれである。 一見何の変哲もない会話だったが、真紅の声は動揺を隠しきれていなかった。 真紅は激しく動揺していた。水銀燈との突然の再会に…ではなく… 「(これが本当に水銀燈!!?)」 同じ中学校に通っていた頃の水銀燈と今自分の目の前にいる水銀燈。 その雰囲気は180°変わっていた。 黒いタンクトップに破れジーンズというハードな服装。 昔からの特徴だったねこなで声は、何故か人を威圧するような力強さを感じさせる。 そして、目は鋭く、何もかもを見抜くような鋭い釣り目。 しかし、その白銀の髪と紅色の瞳は間違いなく水銀燈のものであった。 「ふふ、私がロック聞くようになったのは貴方に会わなくなってからぁ、当たり前よぉ」 水銀燈がそう言うと、真紅は胸を締め付けられるような心地悪さを感じた。 それは、自分の罪悪感によるものだとすぐに分かった。 「す…水銀燈、あの時は!!」 真紅が言いかけると、水銀燈は人差し指を真紅の唇にあてて黙らせた。 「…ここじゃなんだから、喫茶店でも行かない?」 そう言う水銀燈の目は、優しいものだった。 「何より、ちょっとここ居づらいわぁ」 と言って、水銀燈は親指で背後を指差す。そこにはCDを試聴しつつ、思いっきりヘドバンする少女の姿があった。 …彼女たちはまさかその少女が、後にローゼンメイデンのコーラス兼デス声担当になるとは予想もしていなかっただろう。 「た、確かに…分かったのだわ。いったん出ましょう」 二人は近場にある喫茶店へとやってきた。 「ここ、私がよく来る喫茶店でねぇ。紅茶もおいしいから、気にいるわよぉ」 「そ、そうなの…」 笑顔で話す水銀燈に対して、真紅の表情は晴れなかった。 水銀燈は入ってすぐに頼んだ乳酸菌飲料を一口飲む。 「…気にしなくて良いのよぉ?」 「………」 水銀燈はそう言うが、真紅はやはり何か引っかかってる模様。 「…私ぃ、あの後別の施設に移されたの…それは知ってるわよね?」 「…えぇ」 水銀燈は話し出した。 自分が新しく入った施設では、みんな自分を受け入れてくれたこと。 その仲間達のおかげで、学校にも復帰できたこと。 そして、今は施設を見学しに来たある人物の養子になったこと。 「槐さんって言うんだけどねぇ、よくしてもらってるわぁ」 その槐の娘と本当の姉妹のように仲良くしていること。 彼女の影響でロックに興味を持ったこと。 最近エレキギターを始めたこと。 「…ねぇ、水銀燈…」 楽しげに話す水銀燈を見ていて、真紅は口を開いた。 「…今、幸せなの?」 真紅は、やはり不安そうな顔のまま聞いた。 水銀燈は優しそうな笑顔で真紅を見る。 「当たり前じゃなぁい。毎日が最高よぉ…だからぁ」 水銀燈の手が真紅の頭に伸びる。 「同情なんかしないでほしいわぁ」 水銀燈がそう言ったことに、真紅は涙ぐんだ。慌てて顔を隠す。 「そ…それは良かったのだわ」 真紅はそう言って、すっかりぬるくなった紅茶を啜る。 そんな真紅の様子を、水銀燈は微笑みながら見ていた。 その日から、再び水銀燈と真紅の交流は始まった。 主に音楽の話で意気投合した二人は、共に同じ高校を受験し合格。 その後蒼星石達に出会い、現在に至るわけである。 「…これで、水銀燈と私の昔話はおしまい」 「…」 真紅の話は終わり、沈黙が病室を包んだ。 「…じゃぁ、私はもう帰るのだわ」 真紅はそう言って帰っていった。 残されたのは、何かを考え込むめぐと、穏やかに眠る水銀燈だけだった。 (以下執筆継続中) (3)へ戻る/長編SS保管庫へ/(5)へ続く
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水銀燈が翼をはためかせて飛んで行く。向かう先は桜田家である。 一週間ぶりだった。愛しい人に会いたい欲求と、周りと馴れ合う事を許さないプ ライドを天秤にかけ続けて、遂に限界を迎えたのだった。 とは言えそのプライドも徐々に安売りを始めたのか、最近ではめぐとの会話にも 桜田家の話題が多く上るようになりつつある。 桜田家の庭が見えてきた。音も立てずに舞い降りる。 部屋ではドール達が何か話し合っている様子だった。 翠星石が眉根を寄せているのが見える。 真紅はいつも通りティーカップを片手に涼しい顔をしていた。 透き通るような金髪や陶器のように艶やかな肌。 日差しのせいで煌めくそれらに水銀燈は思わず目を細め、しばらく見惚れていた。 蒼星石がそれに気付いて声を上げた。 「あれ?水銀燈が来てるよ。」 「全くこの大変な時にわざわざ迷惑な奴ですぅ。」 そう言いながらも翠星石が窓を開け、水銀燈を迎え入れる。 水銀燈に席を用意するとすぐに皆は話し合いを再開したが、 真紅が不意に立ち上がり、水銀燈に近付いてきた。 真紅は顎に手を当てて少し俯き、何事か呟いていたが、顔を上げるとこう言った。 「水銀燈、今夜は泊まって行きなさい。私のベッドを使う事を許可するのだわ。」 余りに突拍子も無い一言に水銀燈は己が耳を疑い、他の人形達の顔色を窺った。 彼女達は一瞬怪訝そうな表情を見せたが、すぐに得心がいった様子。 水銀燈には益々訳が分からなかった。 そして迎えた夜、真紅のミーディアムの部屋に招かれると、 既に真紅がベッドに腰掛けていた。 「さあ、早くおいでなさい。」 そう言って真紅はマットレスを軽く叩く。 言われるままに横になったが、水銀燈は真紅の方を見る事が出来ずに背を向けていた。 まさか真紅と寝床を共にする日が来ようとは、 いや正直に言えば取り留めの無い妄想の中でそういう場面が無かったとは言わないが、 このような形で急に実現するとは思ってもみなかった。 現在自分が置かれた状況を考えれば考える程、 水銀燈の頬は紅潮し、肩は強張っていくのだった。 真紅が水銀燈の銀髪を手櫛で梳き、溜め息を一つ吐いた。 「そんなに恥ずかしがる事は無いのに。 まあいいのだわ…入ってらっしゃい!」 「うにゅー…眠いのよー…」 そう言って入ってきたのは雛苺だった。 「さあ、早くこっちに来るのだわ。」 雛苺は目を擦りながらベッドに入ってきて、水銀燈は真紅と雛苺に挟まれる形になった。 水銀燈の胸中では複雑な思いが渦巻いていた。 「し、真紅ぅ?あたしが呼ばれたのもそうだけど、何故この小さいのもいるのかしらぁ? そりゃふ、二人だなんてそんな…だけども」 自分の理解の範疇を超えた事ばかり起きているせいか、その言葉にも全く纏まりが無い。 「水銀燈、動いては駄目よ。」 真紅は無視してそう言うと水銀燈の胸元を掴み、一気に膨らみをはだけさせた。 水銀燈の思考は完全に停止してしまった。 他ならぬ真紅に脱がされたせいもあるかもしれない。 「ほら雛苺、早くするのだわ。」 「うゅー…」 雛苺が水銀燈の乳房に吸い付く。そしてもう片方の乳首を指で弄り始めた。 放心したままの水銀燈に真紅が説明する。 「ごめんなさい水銀燈。雛苺、こうしないと寝付けないみたいなのだわ。 普段はめぐがやってるんだけれど…骨折して入院してしまったから。 あ、ジュンなら付き添いでいないからいくら騒いでも問題無いのだわ。」 いくらそんな話をした所で水銀燈の耳から入って反対側から抜けていくだけである。 「ちょっと水銀燈!聞いているの!?」 真紅が水銀燈の耳を摘まんで大声で呼びかける。 水銀燈の体が大きく跳ねる。 我に帰ったものの、相変わらず状況は理解出来ていないようだった。 「えぇ!?これは…えぇ!?」 「さっき説明したばかりでしょう…まあいいわ。 それにしても羨ましいばかりだわ。 人間にだってこれ程の大きさを持つ女性はそうはいないでしょうに。」 そう言うと真紅は水銀燈のバストを指でつついた。 「ちょっ、ちょっと!?何するのよぉ…」 「いいじゃない。減る訳では無いのだし。」 真紅はそのまま指先で撫でてみたり、軽く抓ってみたりした。 水銀燈の顔が見る見る内に紅く染まっていく。 真紅と自分の肌が触れ合っていると意識する度に鼓動は早まり、気は高ぶっていくのだった。 そうしている間にも真紅の悪戯はエスカレートしており、 既に乳房を鷲掴みにして揉みしだいていた。 「見て、水銀燈。雛苺、もう寝ているのにあなたに吸い付いて離れないのだわ。 よっぽど気に入ったのね。」 真紅は雛苺を完全に引き離す事を諦め、突起を触っていた指だけを離させると、 今度は自分がそれを指で挟んで扱き始めた。 「もうこんなに固くなってるのだわ。どうしたのかしら?」 真紅が意地悪く問い掛ける。水銀燈は荒々しく息を吐くのが精一杯で、答えることができない。 真紅はもう片方の手を水銀燈の股の間へ伸ばした。指が触れると、湿った音を立てた。 水銀燈が驚いて背筋を反らせた。 「し、真紅ぅ!?そ、そんな、そんな所…」 「雛苺に吸われてこうなったのかしら? どうなの水銀燈?答えなさい。」 水銀燈は口を噤んだが、真紅が乳房を思い切り握り潰すと痛みに耐えかねた様で、 「し、真紅よぉ!真紅に弄られてこうなっちゃったのよぉ!」 と悲鳴に近い声を上げた。 「ふふふ。いやらしいのだわ、水銀燈。体にもそれが現れているもの。 まあそんな貴女も、嫌いではないわ。」 そう言うと真紅は乳房への愛撫を再開し、秘所へ指を挿し入れた。 「ゆ、指ぃ!?指、真紅の指が、入ってくる…ぅっ!」 乳頭を優しく弄る一方で、挿入された指は容赦なく水銀燈をかき回した。 水銀燈は我慢しきれず、声を漏らした。 「余り五月蝿くすると雛苺が起きてしまうのだわ。もっと我慢なさい。」 「そ、そんな、無理っ、無理よぉっ!んぅっ、ふぁっ!」 真紅は胸を責めていた手を離すと、指を二本水銀燈の口に入れた。 「んむぅっ!?」 「大人しくしなさい。貴女が騒がしいからこうしているのよ。」 指が水銀燈の舌に絡み付き、ぴちゃぴちゃと音を立てた。 「ついでにこちらも指を増やそうかしら。」 真紅はそう言うと新たに秘部に指を突き入れ、責め立て始めた。 「んぅっ!ふぅっ、ぅんっ!」 水銀燈はくぐもった声を出し続け、口からは唾液が大量に流れ出ていた。 目の焦点はぼやけ、ただ快楽に身を任せている。 「もう我慢できないのね?いいわ。おイキなさい。水銀燈。」 水銀燈は全身を大きく痙攣させると、絶頂に達した。 翌朝、水銀燈が目を覚ますと既にベッドから二人の姿は消えていた。 申し訳程度に身だしなみを整え、リビングに向かう。 皆は朝食の準備をしていた。 雛苺がこちらに笑顔を見せる。 「ありがとうなの!水銀燈!」 「いや、でも助かったよ。僕らじゃ全然駄目でさ。」 「ふ、ふん!ジャンクも偶には役に立つってことですぅ。」 何と返したらいいものか思案していると、キッチンから皿を持った真紅がやってきた。 「これ、貴女の分なのだわ。それとめぐが退院するまでは暫くお願いすることになるのだわ。」 これから毎晩楽しみなのだわ、と耳元で小さく囁きかけると、真紅は自分の席についた。 水銀燈は思わず身震いしたが、自分の中のどんな感情がそうさせているのかは、 幾ら考えても分からなかった。 (了)
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「最高じゃなぁい!こんなに楽しかったのは久しぶりよぉ!」 スタジオでの興奮覚め遣らぬ中、四人はスタジオ近くの喫茶店でたむろしていた。 「そうね。この二人なら文句はないわ」 紅茶に舌鼓を打ちながら言う真紅。 「気に入って貰えたようでなによりだよ」 いつでも笑顔を絶やさない蒼星石。 「この翠星石と蒼星石がセッションしてやったですぅ。文句なんて言ったらぶっ殺すですよ」 少し蒼星石の影に隠れながら過激発言をする翠星石。 ハハッ、と軽く聞き流す蒼星石。慣れっこなのだろう。 「まぁ…。これから長い付き合いになると思うし、よろしくね」 蒼星石が右手を差し出し、真紅がそれに応える。 「よろしくお願いするのだわ。蒼星石」 しっかりと、互いの手を握る。 「ほら、翠星石も」 「あ…。よ、よろしくお願いしてやるですぅ!」 翠星石が真紅と握手し、蒼星石は水銀燈と握手する。 「よろしくね。水銀燈」 「こっちこそよろしくねぇ。元STONE FREEのベーシストさん」 「あれ、知ってたんだ」 「一応ねぇ。アナタ達って結構有名なリズム隊コンビよぉ? まぁそんな事より、バンド名どーするぅ?これから必要になるでしょぉ?」 「そうね。その通りだわ」 水銀燈の言葉に、真紅も同意する。 「翠星石はなんでもいいですぅ」 「せめて名前ぐらいは女の子らしいのがいいわね」 真紅がちらっと水銀燈の方を見ながら言った。 「なんでこっち見るのよぉ。それじゃまるで私が女の子らしくないみたいじゃなぁい?」 いや、水銀燈自身は、同性でも目を奪われる程の美貌の持ち主だ。だが一度ギターを弾けば、男顔負けのプレイを繰り出す。 それは今集まったメンバー全員に言える事だ。 真紅はその事を言ったのだろう。 これから大々的に活動するのであれば、目立つのはそのプレイ、音楽性。 だから真紅は、せめて名前ぐらいは、と言ったのだ。 これには大いに悩まされた。 「名前なんてテキトーにつけちゃっていいじゃなぁい」 と水銀燈は言ったが 「名前なんてモノの本質を示すには至らない些細なもの。でも必要なもの。だから大切にしたほうがいい」 と蒼星石が妙に物憂げな顔で言ったので、下手に決められなくなったのだ。 挙句、水銀燈と翠星石が変に意気投合し、おもしろおかしい名前を列挙しだす始末。 「ひらがなに☆を入れると何か怪しげな響きになるですぅ…『れす☆ぽぉる』とか」 「それいいわねぇ。でもやっぱり頭にtheeは外せないわぁ」 真紅は真紅で、紅茶を飲みながら遠巻きに見守っている。 この光景を見渡し、蒼星石は重大な事に気付いた。 まとめ役がいない。 「はいはい、そんなおもしろおかしい名前ばっかり挙げてないでさ。『女の子らしい』っていう最初のコンセプトからだいぶ脱線してるよ?」 蒼星石がまた元の道にもどしたはいいが、結果行き詰まってしまう。 「なにか…お悩みのようですね…」 不意に声をかけられ、全員がふりむいた。 そこには、喫茶店の制服に眼帯、という奇妙な出で立ちのロングヘアーの少女が、少し恥ずかしそうに立っていた。 「あ…なにかに…行き詰まった時…は…この紅茶がオススメですよ…サービスなんで…ぜひ飲んでください…」 眼帯の少女は、持って来た新しいティーカップを四人の前に並べ、一緒に持って来たティーポットから紅茶を注いだ。 「あら、いい香り…」 真紅がすぐさま反応する。 「でしょう…?私も…悩んだりした時…よく飲むんです…。 ドイツの…ローゼンと言う人が…お茶の葉を…まるで愛娘を育てるように…大切に育てているそうです…」 言いながら、順に紅茶を注いで行く。 「ローゼンは…アリスと呼ばれる… どんな花よりも気高くて… どんな宝石よりも無垢で… 一点の汚れも無い… 世界中の…どんな少女でも敵わない程の… 至高の美しさを持った少女の様な…紅茶を生み出そうとして… 七つの紅茶を…生み出しました…これはその一つ…五番目の紅茶、ライナールビンです…」 古いカップをトレーに戻しながら、眼帯の少女はゆっくりと言葉を紡ぐ。 「…その事から…その七つの紅茶達は… ローゼンの少女…ローゼンメイデンと… 愛好家の間では呼ばれています…。 結局…理想…アリスとなる紅茶を生み出す前に… ローゼンは気付いたんですが… 自身が生み出しました… 七つの紅茶全て…一つ一つが… 掛け替えのない存在だと言う事に…」 カップを乗せたトレーとを持ち、ごゆっくり、と言い残して眼帯の少女は奥に消えていった。 「ローゼン…」 「メイデン…」 眼帯の少女の言葉は、四人の心に響き渡った。 「いいんじゃない?至高の少女を目指す、掛け替えのない存在。気に入ったわ。とても」 真紅がライナールビンを味わいながら言った。 「決まりねぇ。ま、アリスになるとしたら私しかいないけどぉ」 「言ってろですぅ」 「まぁまぁ。じゃ、僕らは今日からローゼンメイデンだね」 喫茶店の片隅のテーブルで、ロックバンド・ローゼンメイデンは静かに産声を挙げた。 ~次回予告~ ついに!ローゼンメイデンの快進撃がはじまるッッ! 真紅「次回『fire』下僕(ファン)になることを誓いなさい」 翠「絶対見るですぅ!」 (3)へ戻る/長編SS保管庫へ/(5)へ続く
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普段と変わらない時間に家を出て、普段と変わらない時間に学校に到着した水銀燈。 しかし、職員室には水銀燈を除いた全員が、もうすでに集まっていた。 水銀燈の姿を見て、真紅は声を荒げる。 真紅「遅いわよ水銀燈!いったい今まで何をしていたの!」 水銀燈「んー?今日何かあったっけぇ?」 真紅「会議よ!プリントを前もって渡しといたのに、忘れてしまうとはどうしようもない人なのだわ!!」 水銀燈「…どんな内容?」 真紅「春休みに関しての会議をしたいから、早めに集まれーって内容よ!」 水銀燈「…いつそんなの配ったっのぉ?」 真紅「昨日の放課後!!そんなことも忘れてしまうなんて、老けた証拠だわ!だからそんな髪の色になっちゃうのよ!!」 水銀燈「なんですってぇ…?ちなみにコレは地毛よぉ!?」 一触即発の不穏な空気が流れる室内。しかし、予想に反してあっさりと引き下がる水銀燈。 水銀燈「…まぁいいわぁ。遅れた私が悪いんだし、今日だけは許してあげるわぁ。あ、いっけない…これシャーペンの芯入ってなかったわぁ…真紅、あなたの使ってる芯の濃さっていくつ?」 真紅「…?HBだけど?」 「あらそう、じゃあそれ貰っといてあげるぅ♪」 そういい、シャーペンの芯をケースごと奪い取る水銀燈。その顔には、不敵な笑みを浮かべていた。 そして放課後、何やらパソコン室で作業をし続ける水銀燈。気がつけば、もう外は真っ暗になっていた。 蒼星石「水銀燈、もうカギ閉めちゃうよ。さっきから何を一生懸命作ってるのさ?」 水銀燈「え?ふふ…ちょっと待っててぇ…。ふぅ…やっと出来たわぁ♪ちょっとコレ聞いてごらんなさぁい?」 そういって、プレーヤーの再生ボタンを押す水銀燈。聞こえてきたものはとんでもないものだった。 真紅voice「私と(渡しと) H したい人 放課後 集まれー」 蒼星石「…!!」 どうやら、ICレコーダーでこつこつと真紅の声を拾い集め、合成したらしい。 満足そうに、水銀灯は続けて言う。 水銀燈「うふふふ…我ながら良い出来だわぁ♪これ明日の放課後、放送室から流したら、さぞ面白いことになると思わなぁい?」 蒼星石「…さ、流石にそれはマズいと思…真紅!早まっちゃだめだ!!」 水銀燈「そうよねー、あの子すぐ怒るからねぇ。きっと乳酸菌が足りないのよねぇ…だから胸も無いんだわぁ♪」 真紅「…胸が無くて悪かったわね…!!」 そういい水銀燈にヘッドロックをきめる真紅。のどをしめあげられ、声にならない声を上げる水銀燈。 真紅「…水銀燈…今まで散々目をつぶってきたけど、今回ばかりは許せないわ…!さあ、死してその愚行を反省するしなさい…!!」 …その後、水銀燈は蒼星石の説得の効果もあってか、真紅に1ヶ月食事代をおごると言うことで、何とか事なきを得たという… 前回、ICレコーダーで真紅の声を編集したところ、それが見事にばれた水銀燈。 おかげで、1ヶ月は真紅に対し食事をおごることになってしまい、苦しい生活が続いていた。 水銀燈「全く…なんで紅茶のくせにこんな高いのよぉ…しかも何よ、このベノアティーって…」 翠星石「ププーッ!聞いたですよ!天下の水銀燈ともあろう者が、真紅にたかられてるとは!!!」 水銀燈「…うるさいわねぇ、お馬鹿さぁん…」 不機嫌そうに答える水銀燈。 翠星石「全く、何でそういう面白そうなことに私を誘わないですか?ほれ、協力してやるから、もう1回やってみるですぅ♪」 …そうだ、この子の存在を忘れていた…。 イタズラかけてはエキスパート、陰謀の影に翠星石ありといわれたこの子の存在を… 無言で握手を交わす2人…それは、悪だくみに関しては史上最凶の2人が手を組んだ瞬間であった。 こうして、水銀燈の家で今後の計画について話し合う2人。 翠星石「まずおめーの欠点として、作業を学校でしちまったのが原因ですぅ。こーいうのは、家でこそこそやるもんですぅ♪」 水銀燈「…確かに。でももうICレコーダーも壊されちゃったしぃ、買いなおすお金なんて無いわよぉ?」 翠星石「それです。」 水銀燈「へ?」 翠星石「そんなの、誰がやったかすぐにバレちまうですぅ。ほれ、コレを使うですよ。」 それは、以前学校行事の一環として山登りに行ったときの写真であった。その写真には、山登りで疲れ、けだるい顔をして山を登っている真紅の姿が映っていた。 翠星石「これをちょこちょこっと改造して、どこぞのエロエロな画像と合体させてネットに流しちまうですぅ♪これなら絶対身元はバレないですぅ♪ 水銀燈「…名案だわぁ♪」 止める人がそばにいないと言うのは、かくも恐ろしいことなのだろうか。2人の常軌を逸した考えは、もはや修正不可能なところにまで達していた 早速、作業を始める2人。しかし、思うように上手く出来ず、気がつけばそのまま眠りこけてしまい、そのまま朝を迎えてしまったのであった。 次の日、何か頭に違和感をおぼえ、目覚める水銀燈。どうやら頭を足で踏まれてるらしい。 激しい怒りと共に何かを言おうとしたが、それを見た瞬間言葉を失った。先に起きていたのか、翠星石も凍りついた表情でそれを見上げていた。 そう、部屋には不敵な笑みを浮かべる真紅と、心配そうな顔で見守る蒼星石の姿があった。 真紅「お昼になっても全然学校に来ないから何事かと思えば…あなたたち、またいけないことをしていたようね…?」 翠星石「あわわわわわ…し、真紅!違うですよ!!こいつが私を脅してやらせたですよ!?私は無罪ですぅ!」 水銀燈「な、何言ってるのぉ!?あなたが持ち掛けてきたんじゃなぁい!」 互いに責任を押し付けあう2人。もはや前日までの麗しい(?)友情の姿はそこには無かった。 真紅「あら、そんなに怯えなくてもいいのよ?」 真紅は不敵な笑みを浮かべながら続ける。 真紅「あなたたちが寝ている間に、色んなところをケータイで写してやったのだわ。 …もちろん、合成じゃなくて本物を。さぁて、今度はどんな風にこの償いをしてくれるのかしら? まあ、でも今以上に生徒の人気が欲しいのなら、何もしていただかなくても結構なのだわ…♪」 2人「…!!」 その後、学校で、そして街で真紅に良いように使われる2人の姿があったそうな。 そしてそれは、蒼星石に「本当はそんな写真とってないよ」と告げられるまで続いたという。
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憧れ、尊敬、それは十代の少女にとってすればある種の恋愛感情にも似た感覚が芽生えるものである。 とりわけ水銀燈が真紅達とバンドをやり始めたのも白崎が作り出すロックとしての音に惹かれ、自分も音を出してみたい。メロディーを作り出してみたい。彼の存在に近づきたいという一心な感情の表れでもあった。 今その目標としてきた人物が手を伸ばせば届く距離にいる。 水銀燈の胸はいやおうがなしにも高鳴っていた。 「始めましてENJUの白崎です・・えぇ~と、君たちのバンドを見てってカズキに言われて・・その、まずは君たちのバンド名とかメンバーとか紹介してほしいなぁ~アハハハ」 どうやら白崎という男は見かけとは違い人前で喋るのは苦手のようで時折テレ隠しのように頭を掻きながら言う。イメージとは少しかけ離れた白崎のしぐさに真紅達、とりわけ彼女達の中で一番緊張していた水銀燈も張り詰めていたものがほぐれて白崎に親近感を覚えるようになった。 「そうかぁ、君たちはまだバンド名が決まってないの?珍しいね、オレ達なんかギターを買う前からバンドの名前を決めるのに仲間と言い合ったのになぁ~君たちは仲がイイんだね」 頭を掻きながら白崎は彼女達を一人一人見ながら笑顔でいった。 その後はとりとめのない話がしばらく続きいよいよ真紅達のバンドとしての音を聞いてもらうようになった。 「曲はMr・Bigでcolorado bulldogですぅ」 翠星石がそう言うとスティックでリズムを取り水銀燈のギターが唸り出した。 それに真紅の独特の声が広がっていく。今までクセのように頭を掻いていた白崎は途端に目付きが変わり彼女達の音を聴く。とりわけ水銀燈の出すトーン、真紅のハリがあり伸びるような独特の声、謡い方に目と耳を研ぎ澄ます。 「It’s time to start all over again・・・」 彼女達の演奏が終わると白崎は大きな拍手を贈りイスから立ち上がる。 「凄いよ、凄い。このままでも即そこらのライブハウスで目立つ存在になれるよ。本当に凄いよ・・ヤリ始めの頃のオレ達よりウマイよ、マジで」 白崎の絶賛に水銀燈は胸の辺りで両手を重ね満面の笑みを浮かべ喜び聞く。 「ギターのぉ、私の音はどうでしたかぁ~?」 「凄いよ、とてもクールな音だったよ、今すぐにでもENJUにスカウトしたいくらいだよ」 胸のあたりにあった両手を頬にあて少しうつむき照れる水銀燈。 「あぁ~、水銀燈。お顔が真っ赤なの~」 「本当ですぅ、こんな水銀燈を見るのは久しぶりですぅ」 その後も白崎の提案で3曲ほど演奏する。その度に白崎は真剣な眼差しを真紅と水銀燈に向け、時折リズムに合わせ体を揺らしてみたりスローなテンポの曲には目を閉じ水銀燈の音、真紅の声を耳に入れていた。 (このバンドの可能性は凄い、たぶんオレ達ENJUよりも潜在力はある。特にこのギターとボーカル・・) 彼女達の音を聞きながら白崎は考えていた。 「どうも、お忙しい時に僕達のバンドを見てもらって恐縮です」 別れ際に蒼星石は深く頭を下げ丁寧な言葉を選び礼を言う。 「オレこそイイものを聴かせてもらったよ・・機会があればまた君達の音を聴きたいな」 そう言い残すと白崎はカズキの運転する車で去っていった。 その車内で白崎はハンドルを握るカズキに話す。 「なぁカズキ。お前はいつまで日本にいられるんだ?」 「来週いっぱいまでだな、どうした白崎?」 「昔からの友達としてオレの考えを聞いて欲しいんだ」 そう言うと白崎は前から暖めていた自分の計画をカズキに話し始めた。 ENJUは1ヵ月後メジャーデビューが決定していること、ゆくゆくはENJUを抜けてプロデューサー業に付きたいこと。それには今から可能性のあるバンドから個人を引き抜き新たなユニットを組まし世に出す。今みた彼女達のバンドの可能性、特に水銀燈のギター、真紅の圧倒的なまでの歌唱力に魅力があること。 そして白崎は車から降りる間際カズキに向かいこう言う。 「昔からの友達として頼みたい。できれば他の子に解らないようにギターとボーカルの子に渡して欲しい」 名刺を2枚ポケットから取り出しカズキに渡した。 「くそぉ~オレもそんなにヒマじゃぁねぇんだけど、あいつの頼みだからなぁ~」 真紅と水銀燈に名刺をわたすべく2人が途中まで同じ道を通り帰るのを翠星石から聞いたカズキはその道沿いにある公園でタバコをふかし2人をまっていた。 「ねえぇ真紅ぅ、昨日転校してきたカ・・カナ、」 「金糸雀なのだわ。彼女がどうかしたの水銀燈?」 「私のギターを見ていきなり初対面で私のことマイケルって呼ぶのよォ」 「仕方ないのだわ、それマイケルシェンカーモデルでしょ?」 「そんなの知らなァ~い。色が白と黒で私に合ってるから選んだだけよぉ、それよりいきなりマイケルよ、マイケル。みんなに笑われたわぁ」 2人の姿を確認したカズキは「ん?あの2人か」と重い腰を上げて2人に声をかける。 「よぉ、え~っと、ボーカルの真紅ちゃんとギターの水銀燈ちゃんだよね。ちょっとマジメな話があるんだ・・聞いてくれる?」 3人はカズキがまっていた公園に行き、ベンチに座りカズキから白崎の話を聞き名刺を受け取る。 「すぅご~い。真紅ぅ、ねぇ、私達もしかしたらぁ、白崎さんのプロデュースでメジャーぁ?」 はしゃぐ水銀燈、真紅は反対に地面を見つめ浮かない表情のまま口を開く。 「それは確かに白崎さんが言った言葉なの?」 「ああ、そうだよ」 カズキは腕時計の針を見ながら短く答えた。まだ浮かない表情の真紅に水銀燈はベンチから立ち上がり顔を近づける。 「どぉしたの真紅ぅ?こんな話ってなかなか転がってないわよぉ?」 水銀燈の言葉にうなづくカズキ。 「確かに音楽ヤッてるヤツには美味しい話だな、まぁオレには関係ないし 明後日にはロスに行かないと。用意とかあるからオレは帰るわ」 とベンチから立ち上がり最後に手を振りながら「頑張れよ」とカズキは言うと帰っていった。 地面を見つめ考える真紅に水銀燈はおどけてみる。 「ねぇ、さっきからオカシイわよぉ。こんなチャンス翠星石なら「こんな美味しい話はめったにねぇですぅ、このチャンスをモノにするですヨッ」って言うはずよぉ~、ねぇ真紅ぅ」 水銀燈は翠星石のマネをする。 それに対し真紅は水銀燈を見つめゆっくりとではあるが厳しい口調になる。 「その翠星石はどうなるの?蒼星石は?雛苺は?私達はいつも一緒のはずなのだわ!」 しばらく沈黙が2人をつつむ。真紅と水銀燈はたがいの目を見ている。 「いつも一緒ぉ?・・・バカみたァい・・」 小さく独り言のように呟く水銀燈。その言葉に真紅はベンチから立ち上がる。 「今なんて言ったの水銀燈!」 「ウフフフ・・・」 小さく笑いクルリと真紅に背を向け遠ざかる水銀燈。 「ウフフフ、ヤッてらんなァい。こんな話を・・イカレてるわぁ」 遠ざかる水銀燈に真紅も声をあげる。 「待って水銀燈!ちょっと待ちなさい」 そんな真紅の言葉が耳に入らないかのように水銀燈は公園から去っていった。 その夜、真紅は渡された名刺に書かれた白崎の携帯に電話する。 「もしもし・・あっ真紅さん。カズキから聞いたんだ、良かったぁ。で聞いた話の感想はどう?」 「はっきり言って今の私には受け入れられない話なのだわ」 しばらく黙っていた白崎だが、ゴホンと咳払いをし、話し出した。 「他のメンバーの事が引っかかるようだね、バンドをヤッていたらよくある話さ・・ギターの子からはまだ連絡はないが彼女は君と違う選択をしてほしい、できれば真紅さんも考え直して欲しい。突然だけど今週の土曜日に時間があれば、駅の近くのモトリークルーという店に居るからもう一度考えて良かったら来て欲しい、夕方の6時に」 真紅は白崎との会話を終えるとすぐに水銀燈に電話を入れる。 しかし2度3度かけてみても出ない。4度目は話中であった。その後は留守電に切り替わっていた。メッセージを入れる真紅。 「水銀燈、公園では少し言い過ぎたわ。でも私はやっぱりみんなの音が一つになってのバンドだと思うのだわ・・じゃ、また明日オヤスミ水銀燈」 携帯電話の液晶画面に文字が現れる。 「伝言メモ1件」ボタンを押し文字を切り替えボタンを押す。 画面に「伝言メッセージ1件削除しました」との文字が現れて消えた。 蒼星石がベースから手を離し不思議そうに真紅と水銀燈を交互に見る。 「どうしたの真紅?今日はヤケに水銀燈とタイミングが合わないみたい」 翠星石もスティックを指で玩びながら水銀燈に話しかける。 「今ので2回トチッたですよ水銀燈、カゼでもひいたですぅ?」 水銀燈はギターからコードを抜きギターをケースに入れる。 「そうなのよぉ、少しカゼ気味でねぇ~。私帰るわぁ~」 真紅達が通う薔薇女子高は吹奏楽などに力を入れており5月の第3金曜日に春の音楽祭を、11月には冬の音楽祭を毎年行っている。 出場申し込み用紙を1週間前に出した蒼星石は心配そうな表情を水銀燈に向けていた。 「土曜はここを借りて練習だよ」 ドアに手をかけながら水銀燈は蒼星石に顔を向けるが目は真紅を見ている。 「土曜は用事があるからァ、ちょっとパスねぇ~」 そういい残すと水銀燈はドアから出て行った。 土曜、いつものスタジオに集まるがギターの水銀燈がいなくては練習にも力が入らず時間だけが過ぎていく。 「今日はお終いなの~、ヒナはカラオケに行きたいの~」 「チビ苺にしてはイイ案ですぅ、真紅もいくですよ」 時計の針をチラッと見る。PM8:30 真紅は首を横にふる。 「私もこのあと用事があるのだわ」 真紅はスタジオの階段を駆け上がりながら携帯のボタンを押す。 短いコールのあと受話器から白崎の声が真紅の耳に届いた。 「やぁ、真紅さん。考えは変わったかな?水銀燈さんはオレの話に乗り気のようだよ」 「今そこに水銀燈はいるの?」 「ああ、いるよ、前に駅まで送ってるとこさ。ところで真紅さんの気持ちを教えてほしいんだけど?」 道を歩いていた真紅の足が止る。 土曜の人込み、大きな交差点、赤信号、その向こうに水銀燈と白崎が駅に向かい歩いている。 知らない人がみれば週末の時間を楽しむ恋人のようにも見える2人。信号がなかなか変わらない交差点、水銀燈と白崎は真紅に気付かず駅へ消えていく。 「前にも言ったように私の気持ちは変わらないのだわ。私は今の仲間とずっとロックをヤッていきたい。そう思ってるわ・・もしもし聞いてるの?」 駅で水銀燈と白崎は向かい合い手を振る。 「私を評価しくれて感激だわぁ・・これはほんのお礼よ・・」 水銀燈は1歩前に出て白崎の頬に軽くキスをし足早に人込みに消えた。 白崎は照れるようなしぐさで頭を掻きながら携帯越しの真紅との会話に戻ろうとする。 「ちょっと、貴方。水銀燈と何を話ししたの?」 後ろから真紅の声が聞こえ振り向く白崎。 そこには携帯を持った真紅がいた。 真紅は白崎の手を取り人込みから少し外れる。 白崎は携帯をポケットにしまいながら真紅を見、話し出す。 「いやぁ~、水銀燈さんはほぼOKみたいな感じだよ、彼女のギターは少しオレ的には荒削りだけどイイもの持ってるよ・・だけど真紅さんの歌唱力には敵わない。正直に言うと水銀燈さんのギターより本当はキミの声が欲しい」 真剣な表情で話す白崎をじっと見つめる真紅。だがその表情は睨むと言ったほうが適切な表情にも見えた。白崎の話は続いた。 「実はこの話は水銀燈さんには言えなかったんだけど・・・新しいギターの子を見つけたんだ・・」 それは3日前にENJUが東京のライブに出たときに見つけた新たなギターの才能をもつ男。その話を真紅に語り出す。 「彼もまだ明白な答えを出してもらっている訳ではないけど、キミと彼が組んだら最高の音、歌が出来ると思う。そうなればオレはすぐにでも」 そこまで聞いていた真紅は低く搾り出すような声を白崎に向けた。 「それはどういう事?水銀燈は知らないですって?貴方は人の気持ちや夢、希望を何んだと思ってるの?」 真紅はそう言うと大きく平手を白崎の頬に入れると背を向け人込みをかき分けて水銀燈を探し追いかけ始めた。 「待って、水銀燈!」 真紅が水銀燈を見つけたのはカズキから名刺を渡された公園にさしかかる道であった。真紅の声にゆっくりと振り返る水銀燈。 「あらぁ~真紅ぅ。練習は終わったの?」 振り返った水銀燈はいつもと変わらない笑顔に戻っていた。 「聞いて欲しい話があるの水銀燈・・・あなた白崎にダマされてるかもしれないのだわ」 水銀燈の笑顔は消えあの日、公園で真紅と別れた表情に戻っていた。 「どういう意味なの真紅ゥゥ」 真紅はつい先ほどまで白崎と話した内容を水銀燈に伝えた。 水銀燈はうつむき地面に映された自分の影を見ながら小さな声がでる。 「そんなのウソよぉ、白崎さんは私のギターを誉めてくれた。 評価してくれたのよォ・・・真紅ぅ・・・」 その悲しい水銀燈の声に言葉が出ない真紅。水銀燈の声は続く。 「ENJUは、白崎さんは私の憧れだったのよぉ・・・」 そう言うと呼び止める真紅の声を無視し水銀燈は背を向け静かに歩き出す。 2歩、3歩と真紅から遠ざかる水銀燈。 「す、水銀燈・・・」 今にも消えそうな声で水銀燈を呼び止める真紅。背を向けていた水銀燈は立ち止まり真紅に向かい自分の気持ちを言葉にする。 「それでも・・それでも私はカケてみたいのよぉ、真紅ぅ。ねえぇ解るぅ?目の前に現れた現実的な夢って・・」 水銀燈が初めて気持ちの奥底にある自分自身の希望、夢、願望を真紅に語り出した・・・ それは初めてロック、その音、歌が表す世界に触れたとき水銀燈の中で何かが弾けた、最初はただの傍観者、だがあの日の放課後「私たちにも・・」真紅の一言で水銀燈の音楽、ロックに対する想いはただの観客からプレイヤーに動き出した、真紅達と音を出し始めるとその想いは強まっていく。退屈な授業中に夢を見る、ベッドの上で眠りにつくひと時に頭の中、心の中で夢を描いてみる。それは眩しいばかりのライトに照らされステージのド真ん中で音の波を作り出す自分自身の姿・・・。 「夢は私も翠星石たちも貴女と同じよ、ただそのステージには翠星石、蒼星石、雛苺、そして水銀燈も一緒にいる。それが私の夢なのだわ・・」 真紅の言葉にうつむいていた顔がゆっくりともちあがる。 「解ってるわよぉ・・そのくらい私も何度も見た・・その夢は・・私の・・」 水銀燈はそれだけ言うと走り去っていく。 その言葉の最後は小さく真紅には聞き取れなかった。 電気を落とし真っ暗な部屋、一人ベッドに座り携帯にかかってきた白崎の話に声を荒げる。 「なぜ私の音じゃなく真紅の声なのォ?」 「スマナイ、こんな結果になってしまい・・もっと早くキミに言っておけば良かった・・本当にスマナイ」 詰まり気味に答える白崎に水銀燈は最後の言葉を言いそのまま携帯を部屋の壁に投げつけた。 「貴方と貴方のENJUをいつかジャンクにしてあげるわァ~」 (1)へ戻る/長編SS保管庫へ/(3)へ続く
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名無しさんまとめ [ 過去投下作品 改善作業情報(自分用メモ) ] 水銀燈…下から随時更新中(「白き者の憂鬱」まで終了) [ 他の人との違い ] 生徒、特に射撃部がそんなに過激ではありません。あくまで高校生レベルです。 コリンヌとオディールが姉妹ではない等、各種キャラの設定が違う場合があります(注:各キャラ解説) 原作を意識しすぎて、失敗してる箇所が多々あります。 「ローゼンメイデンが教師だったら 」というより、「ローゼンメイデンのドールたちが、人間として生まれて、何か色々あって教師になったとしたら」といった方が正しいかもしれません。 時代別区分け 何か、作ったほうがわかりやすいかなーと思って、作ってみました。 時代別区分け 予告 戯れに作ってみました。思いつきだけで書いたやつもあります。 予告全集 水銀燈 いつもサボってばっかりで、自分のためなら他人を利用することもいとわない悪い子です。怒ると怖いですが、意外に面倒見は良かったりします。 水銀燈と生徒指導 水銀燈と浮気発見術 大捜索 水銀燈と林間学校 保健室と二日酔い水銀燈 水銀燈と新入生 水銀燈vs不良in清水 昔の水銀燈と薔薇水晶 真紅と水銀燈の奇妙なドライブ 具合悪いんでぇ・・・ 水銀燈と『商談』 水銀燈の恋愛観 視聴覚室のゲーム 銀様国外逃亡劇~civilians side~ ピンポンダッシュ 素直になれない水銀燈とサボり 水銀燈と尾行とめぐ 水銀燈と尾行とめぐ~mercury side~ 水銀燈と初等部 意地とプライド 星降る夜空の下で 逃げ出した先に見つけたもの 真昼の来訪者 昔の水銀燈と薔薇水晶 その2 招かれざるもの、心を閉ざすもの 2つの力 穏健派の逆襲 死の誘惑と黒き天使 アリとキリギリス 歌舞伎町の女王 black and white 翼の折れた天使 魂の呪縛 史上最強のナンバー2 ~ein Unterlehrer~ Rozen Maiden begins 誕生日 克服 王の帰還 薔薇盗人 賭博黙示録 お金の価値、人の価値 逃避行 道化師とマリオネット 食わず嫌い 白き者の憂鬱 初売り ハリネズミのジレンマ 代務 受験勉強 全ては水銀燈を中心に 誰かのために 真・水泳部、始動 天秤 新しき道 貨幣経済 ガイヤの夜明け 結婚生活 同属亜種 庭園 自 子 中 信用 結婚式 -eine Hochzeit- 金糸雀 「楽してズルして」が信条ですが、悪には成りきれないご様子。ちなみに、ゲームがお好きのようです。 金糸雀と株 ミラーリフレクション でぃーえす・発売日 金糸雀の節約術 視聴覚室のゲーム 金糸雀の仲裁 金糸雀と雛苺と無視 新入生誘致大作戦 旋律 発掘 策士二人 翠星石 イタズラ大好きで、いつもみんなを困らせます。でも、時折意外な一面を見せることも…。 翠星石の財布泥 相 談 翠星石とバリカン あなたと翠星石の朝 翠星石と創作料理大賞 仲間はずれ ピンポンダッシュ 蒼星石と翠星石の心遣い 翠星石と雛苺と園芸 翠星石と蒼星石の心理テスト 愚者の苦悩 桜 ~cherry blüht~ 王の帰還 発掘 食わず嫌い 翠星石と今日のニュース 蒼星石 問題が発生すると、冷静な判断力で見事にそれを解決します。また、その時の心のこもったお説教も、人気の秘密かもしれません。 蒼星石と万引き 間違えられたCD 蒼星石と翠星石の心遣い 翠星石と蒼星石の心理テスト 桜 ~cherry blüht~ 歌舞伎町の女王 訪問 お金の価値、人の価値 蒼星石の時事問題解説 -北朝鮮ミサイル試射事件- 真紅 お嬢様気質でとっつき難く見えますが、意外に世話好きなようです。ただ、つい『余計な一言』を言ってしまうという困った性格の持ち主でもあるようです。 真紅と水泳 真紅とお泊まりと豊胸 真紅の角 卒業式のリハーサル 真紅と水銀燈の奇妙なドライブ 真紅と昼寝とイタズラ 水銀燈と尾行とめぐ Rozen Maiden begins 本の行方 理解 雛苺 子供っぽい部分が多々ありますが、とっても純心で優しい子です。しかし、それがアダとなることも… 難民 雛苺と万引き 翠星石と雛苺と園芸 金糸雀と雛苺と無視 雛苺のずる休み 星降る夜空の下で 愚者の苦悩 克服 雪華綺晶 薔薇水晶の姉。普段は、何考えているのか分からない節がありますが、時々退屈しのぎにとんでもない事件を起こしてくれることがあります。 翠星石vsねずみ UNOと大戦略 難民 仲間はずれ 視聴覚室のゲーム 2つの力 black and white 史上最強のナンバー2 ~ein Unterlehrer~ 白き者の憂鬱 代務 食料奪取 薔薇水晶 雪華綺晶の妹で、水銀燈の1番の親友にして1番の天敵。曲がったことは大嫌いで、生徒のことを第一に考える、とってもいい子です。 薔薇水晶と張り紙 昔の水銀燈と薔薇水晶 昔の水銀燈と薔薇水晶 その2 薔薇水晶の日記 招かれざるもの、心を閉ざすもの アリとキリギリス 訪問 その他 愛すべき脇役たちの物語です。ちなみに、『JUM桜田』と『ジュン』は別人です。そう言うことにしておいてください。 真昼の来訪者 招かれざるもの、心を閉ざすもの 道化師とマリオネット 初売り ハリネズミのジレンマ 女たちの戦い 従者 智天使 代替授業 ウォーターカーニバル 全ては水銀燈を中心に 真夏の夜の夢 黒のワルツ 離反 複数 注:この項に無いものでも、後期に作ったものには、ほぼ全てのキャラが何らかの形で物語にかかわっています。『水銀燈』の項では、特にそれが顕著に現れています。 卒業式のリハーサル ピンポンダッシュ 闇の住人 心理テスト 逃げ出した先に見つけたもの 穏健派の逆襲 真夏の夜の夢 名無しさん的隔離 「ローゼンって何?」って状況で作ったものや、「何か違うよなぁ…」ってものばかりを集めてみました。 雪とねずみと迫撃砲 ひなまつり2 水銀燈と体育倉庫 合成大作戦 水銀燈逃亡劇 水銀燈が居るミセ、蒼星石が座ったイス 昔の水銀燈と薔薇水晶 その3 水銀燈とインターンシップ 黒衣の守護者 盗撮 オープン・ウォーター 女たちの戦い 翠星石と催眠術 昔の水銀燈と翠星石 翠星石と入学式 翠星石とブービートラップ 真紅と帰ってきたJUM 真昼のダンスバトル 運動会コスプレリレー 部活動設立 体育祭 草案 少年兵 俺のオディールの話、名無しさんの時代別に入れたほうがいいですかね? -- 管理人 (2006-05-08 02 04 48) とりあえず入れておきます。 -- 管理人 (2006-05-08 16 48 03) 面白いね -- gyarakusianekusu (2006-05-09 22 17 38) 管理人さんあ、了解ですw gyarakusianekusuさんありがとうございますw仕事中に考えたかいがありましたw -- 名無しさん(色々書いてる人) (2006-05-10 05 52 57) 名前 コメント
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それはまだ、ローゼンメイデンのメンバーが薔薇学園高校に通っていた頃… 「ぜ…全治一ヶ月ですってぇ!!?」 有栖川大学病院に水銀燈の声が響いた。 … …… ……… 「まぁ…良かったじゃない。あれだけ無茶して、それだけですんだのだから…」 真紅が苦笑気味に言う。水銀燈はベッドでトホホと項垂れている。 右足にはギブスが巻かれていた。 彼女はつい先日、メンバー達と一緒に学園祭のステージでライブを行ったのだが… 「まったく、ステージから飛び降りて転けるなんて…水銀燈はホント馬鹿ですぅ」 ローゼンメイデンのドラマー、翠星石は呆れ顔である。 「まぁまぁ、翠星石。ロックっぽくて良いじゃないか」 同じくベーシストの蒼星石はそう言うものの、顔は完全に苦笑していた。 「もう、水銀燈…無茶したらめっめっ!なの」 コーラスの雛苺はぷりぷりと怒っていた。 「…銀ちゃん…大丈夫?」 キーボーディストの薔薇水晶は、心配そうに水銀燈を見つめた。 「大丈夫よ、ばらしぃー」 そういって、水銀燈は微笑む。情けないのか、若干苦笑気味ではあるが… そのまま、メンバー達はしばらく談笑し、夕方には帰っていった。 「…ふぅ、暇ねぇ…病院でギター弾くわけにも行かないしぃ」 と言いつつ、真紅が差し入れで持ってきてくれたDVDプレーヤーでスレイヤーのライブDVDを見ていたが、ジッとしながら見ても少々盛り上がりに欠ける。 「…散歩でもしようかしら?」 そう呟き、水銀燈は車椅子に乗ると病室を出た。 有栖川大学病院はなかなか大きな病院で、水銀燈はあちこちを回った…が… 「…そもそも、病院にそんな変わった物が有るわけ無いわよねぇ…」 と、彼女が完全に退屈して部屋に戻ろうとした時… 「「もういいから出てって!!!」」 いきなり大きな怒鳴り声が聞こえ、水銀燈は驚き、目を丸くした。 辺りにいた患者や看護士は、「またか」という表情をする。 「あぁ、まためぐちゃんね」 近くに居た看護士がそう呟いた。 「めぐぅ?その娘、いつもこんなに騒いでるの?」 「えっ……そうなのよ…私たちが部屋に入るのをよく嫌がってね…」 その看護士はウンザリした様子で言った。 「へぇ…」 水銀燈はニヤリと笑った。 「ねぇ、看護士さぁん。その娘の病室連れてってくれなぁい?」 そう水銀燈が頼むと看護士は一瞬変な顔をしたものの、めぐの病室へと水銀燈を連れて行った。 「ここよ…私は、入ると嫌がられるからここまでね」 と言って、看護士はその場から逃げるように立ち去った。 水銀燈はその病室のドアを開ける。 …からたちの花が咲いたよ 白い白い花が咲いたよ… 中にいた少女、めぐは歌を歌っていて水銀燈に気づかなかった。 「…」 …からたちのとげは痛いよ 青い青いはりのとげだよ… 水銀燈はしばらく少女の歌に聴き入る。 「…めぐぅ」 そして、いきなりファーストネームで名前を呼んだ。 めぐは驚き、水銀燈のほうを見る。 「…素敵な歌声ね」 水銀燈はニッと笑って見せた。 「…あなた、誰?」 めぐは不審者を見る目で水銀燈を見る。 水銀燈は、何もかもを見抜くような鋭い視線をした。 びくっとめぐは一瞬怯える。 「私は水銀燈。よろしくね」 長編SS保管庫へ/(2)へ続く